2014年3月14日金曜日

ウエスト症候群セミナー 完(午前)

午前・第一部の最終章、、

⑥ウエスト症候群の治療

つづき。

ケトン食療法について

ウエスト症候群を対象とした場合、日本では未だあまり普及していないそうですが米国や韓国では難治性てんかんの治療法の一つとして確立しています。(米国→ACTH療法をするのに高価な為、韓国→ACTH療法が実施できない為)

このセミナーでは、2種類のケトン食について説明がありましたが、調べると4種類程あるようです。

⑴古典型ケトン食(炭水化物:脂質:蛋白質=4%:90%:6% )

修正アトキンス食(炭水化物:脂質:蛋白質=10%:65%:25%)

⑶MCTケトン食(炭水化物:LCT(軽鎖脂肪酸):MCT(中鎖脂肪酸):蛋白質=20%:10%:60%:10%)
⑷低グリセミック指数食(炭水化物:脂質:蛋白質=10%:60%:30%)

東京女子医科大学では⑴と⑵を両方しているそうで、⑵については全国で初めて2007年に実施したそうです。

主な副作用としては,便秘,腎結石,骨粗鬆症,吐き気,嘔吐,元気がなくなるなどの症状や,高コレステロール血症(LDLコレステロールが上昇する),高尿酸血症,代謝性アシドーシスなど。

ケトン食について詳しい情報コチラにありましたケトン食普及会
インターネットによる情報提供に加えて各種相談に応じています。


外科手術について

外科手術には大きく分けて2つの手術方法があります。
1つは、てんかん発作を起こす脳の領域を完全に切除あるいは周囲と遮断することによって、発作が起こらないようにする根治的手術です。
もう1つは、発作波が脳に拡がるのを緩和することにより、重篤な発作が起こらないようにする姑息的手術です。

手術の目的は、難知性の発作を止めることですが、発達の遅れの軽減や防止・転倒によるけがの防止を目指す場合もあります。

小児の難治てんかんにはウエスト症候群の他にもいろいろな種類がありますので、それに対応する手術法も幾つかあります。今回のセミナーで説明を受けたのは以下です。



セミナー②てんかん発作とは?の講義で、脳の構造を説明していただいた時の資料「ペンフィールドのマップ」という脳の各部位と 全身の運動・感覚の対応図を参照し、切除する各部位によるリスクもあるという説明がありました。


しかし、乳幼児期の発達途上にある脳は柔軟性が高く、ある領域を切除しても機能喪失が成人と比べて起きにくいと考えられているので、小児脳外科手術を実施できる施設は全国で限られてはいるものの積極的に行われている現状であるようです。


迷走神経刺激(VNS)療法について

頚部の迷走神経に電気刺激を与え、てんかん発作の発生を軽減する治療です。 英語で「Vagus nerve stimulation」と綴り、略してVNSとも呼ばれます。
 
電気刺激発生装置(ジェネレーター)を胸部に埋め込み、そこからリード線を延ばして頚部の迷走神経に巻付ける手術が必要です。原理と手術は心臓ペースメーカーとよく似ています。 
迷走神経は脳の深部を活性化する働きがあり、「脳のペースメーカー」ともたとえられます。 

迷走神経刺激療法の発作抑制力は、焦点切除術などの開頭手術ほど強くはありませんが、開頭手術が不要なことと刺激をいつでもやめられることが大きな長所です。また、発作に対する開頭手術を受けた後に残ってしまった発作に対しても効果があることが確認されているそうです。


伊藤先生のまとめ



、、以上が、ウエスト症候群セミナー第一部の概要でした!

講義の後、質疑応答タイムがあり次々と挙手した親御さん5〜6名の方々の質問に、伊藤先生は丁寧に解答されていました。(私は短い質問をマイクで話して聞くのが恥ずかしかったもので、、質問タイムが終わった後に先生のデスクにコソっと近寄り、ビガバトリンがいつ頃日本で使用可能になるかという事だけ聞きました。)

東京女子医科大学 伊藤 進先生の講義はとてもわかりやすく、今まで知らなかった事や聞きたかった事を知ることができました。そして、これからのウエスト症候群治療の未来に光を感じました。


次は午後の部・ウエスト症候群セミナー第二部へ!

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